「抜け感」を意識してつくる癒しのリゾートインテリア

「抜け感」を意識してつくる癒しのリゾートインテリア

「抜け感」というキーワードは、インテリアやファッションの分野で最近よく耳にする言葉のひとつ。しかし、抜け感のあるインテリアとは、具体的にどのようなことを指すかは曖昧という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は「抜け感」の2つの意味と、実際にお部屋の中で抜け感を演出するためのコーディネート方法をご紹介します。

インテリアコーディネートにおける「抜け感」とは

インテリアコーディネートにおける抜け感とは2種類の意味があり、それぞれ目的と効果が少し異なります。ひとつは目線の先に遮るものを置かず見渡しが良い空間を指す視覚的な意味合いでの「抜け」、そしてもうひとつは家具や装飾品などの組み合わせや置き方をあえて少し変則的にして、作り込みすぎないラフなスタイルを演出するといった意味での「抜け」です。いずれも心地の良い癒しの空間を演出するためには大事な要素になるでしょう。

視線の先にある「抜け」

こちらの「抜け感」は、お部屋を開放的に見せることが目的となります。特に日本の狭いリビングダイニングやワンルームでは、この抜けを感じることが居心地の良さやリラックスして過ごすことができるかどうかに大きく関わってくるのです。抜けをつくるためには部屋の入口から視線の先にある窓やフリースペースまで、なるべく目線の高さに物を置かないよう家具の配置を工夫したり、高さが低い家具を選ぶことがポイントになります。

コーディネートや組合せをあえて崩してつくる「抜け」

こちらの「抜け感」はあえて作り込みすぎず遊び心を持たせることを指しています。家具の色や素材、形などを揃えた統一感のあるインテリアも魅力的ですが、そんな中でどこかしらのコーディネートや家具の組合せをあえて崩し変則的にすることで、力の抜けたリラックス空間を演出することができるのです。また自分らしいアレンジを加えることにより、他にはない自分に合った快適な空間をつくることにも繋がります。

風が通り抜けるアジアンリゾートの空間づくり

「抜け感」という言葉がぴったり当てはまるのがリゾートの空間づくりです。心地よい風や優しい波の音、どこまでも広がる海や山といった雄大な自然を肌で感じるために開口部を大きく取り、視線の先に抜けをつくるといったリゾートの開放感を損なわないような工夫がなされています。

リゾートでは内装やインテリアにおいてもどこか力の抜けた「抜け感」のあるスタイルを目にすることができます。リゾートらしい自然素材でできた家具や装飾に、あえて異なるテイストの家具を加えてみたりと、つくり込みすぎない自由なスタイルが私たちの心を和ませリラックスさせてくれます。

リゾートスタイルらしい「抜け感」を演出するコーディネート方法

ここからは具体的に「抜け感」を演出するための方法を、3つに分けてご紹介します。

①レイアウトで演出する抜け感

◆ロースタイルで視角に抜けをつくる

室内を高さの抑えたロータイプの家具でまとめることで、開口部までの視線の先に抜け感を演出することができます。目線の高さが開かれていることがポイントで、なるべく視線の先に高さのある家具を置かないよう配置に工夫しましょう。目線の高さが開かれていることで開放的なイメージを生み出すとともに、窓から日差しや新鮮な空気を取り込みやすくなります。

高さが低めに作られたローベッドであれば、窓の向こうに広がる景色を遮ることなくレイアウトすることができます。「抜け感」のあるベッドルームはリラックス効果が高く、睡眠の質にも良い影響を与えます。

リビングの場合、一番面積をとるソファをロータイプにするだけでも抜けをつくることが出来ます。

コーディネートに和室の要素を取り込むことで自然とロースタイルを演出し、抜け感を印象付けることができます。

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◆インテリア雑貨や照明の飾り方で抜けをつくる

家具の配置や組合せだけではなく、雑貨や照明などのインテリア小物を使って簡単気軽に抜け感を演出することができます。雑貨や照明の置く場所でバランスを調整し、あえて左右非対称をつくることで全体的に抜け感のある、やわらかい印象を与えます。

棚の上にディスプレイした雑貨など装飾品を少しランダムに飾ることで抜け感を生み出しています。また、収納家具の間にフロアランプを置くことで高さのバランスを整え、平坦な印象の壁面にリズムを与えています。家具だけではどこか重い印象になりがちなので、装飾品で遊び心を加えてみましょう。

アートパネルを壁掛けではなく、ラフに床に置いてみるのも良いでしょう。リラックス感を与えるとともに、テレビボードや全身鏡との高さバランスも整えて、抜け感を演出しています。

簡単にできる抜け感のあるディスプレイのコツとして、インテリアグリーンやオブジェ、テーブルランプなど高さの異なるアイテムを棚の上に置いてみましょう。三角形の構図をつくるだけで、バランスよく魅せることができます。

②アイテムで演出する抜け感

◆あえてランダムに組み合わせる

統一感のある完璧なコーディネートは美しく理想的ですが、その反面どこか堅苦しくリラックスし辛い印象もあります。そこでお部屋の一部分でも家具の組合せや配置の順番を崩してみると、全体の雰囲気が和らぎリラックス効果が高まります。

家具のデザインに加え、素材や色なども完璧に揃えてしまうと、統一感ばかりが目立ってしまうため少し堅苦しい印象になってしまいます。無垢材の持つやわらかな雰囲気を生かすため、収納の配置をあえてランダムにしたことで、リラックススタイルを表現しています。

ダイニングテーブルに合わせるチェアは全て揃えるのではなく、別のデザインのものと組合せてあえてミスマッチを演出してみましょう。少し抵抗のある場合、まずは2脚ずつ揃えてみると統一感も残すことができます。Afterのように、4人掛けテーブルの片側にはベンチを置くことで、ラフな雰囲気を演出しつつ、背もたれがないぶん視覚的な抜けを感じることもできます。

自由に組み合わせができるユニット収納は、不規則に並べて高さに変化を持たせたり、デザインや素材の異なる引き出しをミックスさせることで、抜け感を演出することができます。左右対称に揃えて設置した場合と比べると、同じアイテムでもどこか力が抜けてホッとできる印象を与えます。

◆自然素材を取り入れる

リゾートのような抜け感のあるリラックススタイルを演出したい場合、ラタンやヒヤシンスなどリゾート感のある自然素材のアイテムを取り入れてみましょう。自然素材ならではの整い過ぎない雰囲気や温もりある感触がお部屋に適度な緩みを与えます。

ラタンは独特の存在感があるため、ソファなどの大型家具でなくスツールやチェアなど、小ぶりなアイテムをディスプレイするだけでも、さりげなく抜け感を演出することができます。

スツールは腰かけとしてだけでなく、鉢植えや雑貨を飾ったりすることで魅せるディスプレイとしても役立ちます。お部屋の空いたスペースに置くだけでもリゾート感が生まれます。

ヒヤシンス編みのチェアは背面から見る際に素材感やデザインの美しさが際立ちます。そのためダイニングシーンはもちろん、ちょっとしたスペースに置いてリゾート感を楽しむのも良いでしょう。

③カラーコーディネートで演出する抜け感

◆壁面装飾で演出する抜け感

視線の先に「抜け」をつくることが重要と説明しましたが、あまりにも殺風景すぎると抜け感ではなくただ寂しい印象を与えてしまいます。そこで壁面に絵や写真、パネルなどを飾って空間全体のバランスを取りましょう。
飾る部分のアウトラインを作ったら後はあえて形・柄・素材・カラーが異なるものを並べると、遊び心のある抜け感を演出することができます。

長方形のアウトラインの中に、幅・カラー・素材が異なるパネルを組み合わせて飾っています。パネルの高さ自体は揃えているのですっきりしつつもラフな印象を与えることができ、住まう人の遊び心やオリジナリティーのあるカラーコーディネートを気軽に表現することもできます。

壁面装飾であれば、狭い玄関や、殺風景になりがちな廊下にも取り入れやすく、手軽に抜け感を演出することができます。

こちらのコーディネートの場合、壁面を装飾することで抜け感だけでなく、高低差がある家具同士のバランスを中和する効果も。

◆ファブリックで演出する抜け感

お部屋のファブリックを使いカラーコーディネートでも抜け感を表現することができます。ここでもやはり色・素材・柄・形などを揃え過ぎないことがポイントとなりますが、ある程度は同系色でまとめて、緩やかなグラデーションを作ると、雑多な印象にならないでしょう。

リビングルームのソファシーンでは、少し多めにクッションを置くことで、ほどよくラフな印象を与えています。この場合は淡いカラーでまとめることで、ランダムになり過ぎず、適度な統一感も生み出しています。

同じソファでもカバー一式を同色に揃えた場合と、一部に異なる色や柄を加えたものでは印象が大きく異なります。ブラウンに統一したものはすっきりとしたモダンなイメージになりますが、ボルスタークッションカバーで色や柄などの遊び心を加えた方は、よりリゾートらしい抜けを感じるイメージになります。

まとめ

今回の特集はいかがでしたでしょうか。2種類の「抜け感」を意識してコーディネートすることで、お部屋を開放的に見せる効果と、どこか力の抜けたほっとできる癒しの効果を得ることができます。「抜け感」はひとつの方法や形に捕らわれ過ぎず、自分らしさや自由な発想をどこかしらに加えたいという現代的な発想と言えるかもしれません。心地よい抜け感をぜひご自宅のコーディネートにも取り入れてみませんか。


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