いくつかのソファデザインの中で非常に人気があってお部屋が広く見えるなど生活環境へのメリットもあるローソファ。この特集では、優雅に海上に浮かぶ帆船をイメージした「セイル・ローソファ」の商品開発エピソードをご紹介させていただきます。
プロローグ
「ラタンやヒヤシンスと言った天然素材ではなく、無垢材を使って新しいローソファがつくれないか?」というテーマからセイル・ローソファの開発プロセスはスタートしました。しかし、いざ開発を進めてみるとデザイン先行でアジアンリゾート家具からかけ離れたものになってしまい、ローソファに帆船のイメージをデザイン化するのは容易ではありませんでした。
デザイン決定後のサンプル製作プロセスでも構造に関わる難しい問題が発生し、開発期間は当初予定していた倍以上の約2年10カ月に及んでしまいました。こうして完成したセイル・ローソファはa.flatの世界観やリゾート感を踏襲し、お客様のリビングへ浮かぶ日を待ちわびています。
セイル・ローソファ (GB)の開発プロセス
天然素材であるラタンやヒヤシンス素材でつくられているケイ・ローソファ・シリーズですが、その背高は約58cmしかなく座面高も約33cmとかなり床面に近いソファとなります。もともとローソファは重心が低く目線が下がることによりお部屋全体を広く開放的に見せる効果がありますが、ケイ・ローソファは拡張性にも強みを持ち、ライフスタイルの変化により買い足してコーナーソファにしたり、カウチソファセットにしたりと変幻自在に楽しむことができます。
もしもローソファを無垢材でつくる事ができたならきっと多くのお客様が気に入ってくださるのではないか、との思いで無垢材ローソファの開発プロセスがスタートしました。無垢材でつくるのならば、搬入出等の輸送や販売価格を考慮した組立式を選択したまでは良かったのですが、幾つかの構造的な課題も残りました。想定外の長い開発期間がかかった無垢材を使ったセイル・ローソファの完成までのエピソードをご紹介致します。
優雅な帆船のようなデザインをモチーフにした、セイル・ローソファ。高さを抑えたローソファには空間を広く見せる効果があるため、開放的なリビングダイニングをつくるには欠かせないアイテムです。無垢材でつくられたセイル・ローソファは素材の高級感や凛とした品格を感じさせる仕上がりとなっています。
セイル・ローソファ (GB)のコンセプトとデザイン
理想を言えば、テン・ハイバックソファのように力学的に適った構造にすれば良いのですが、背が倒れ込み奥行きが広くなりすぎてローソファのデザインからはかけ離れてしまいます。最終的にはシンプル且つ適度な抜け感があって帆船のデザイン、まるで海の上に浮いているような優雅さ。これらの条件を満たすデザインがようやく完成し、デザイン画や縮小模型でもセイル・シリーズの統一感が表現できてきました。
テン・ハイバックソファの構造は、傾斜のある背板を支えるアームや脚パーツの形が力学的に適ったデザインとなっています。傾斜があるため奥行きが広めなハイバックソファです。
海上に優雅に浮かぶ帆船をモチーフにしたセイル・ローソファ。垂直な背板をマストに見立てたデザインにより、すっきりとした開放感のあるローソファになりました。
その他のセイル・シリーズ商品の紹介
75,900円(税込)
32,670円(税込)
130,922円(税込)
36,465円(税込)
着脱可能なアームと脚パーツにするための試行錯誤
ソファの構造部分で一番悩まされたのは、アームや脚パーツとソファ本体との接続方法でした。ローソファの拡張性を考えるとアームや脚パーツを簡単に組み立てや取り外しができる着脱式にしなければならず、またセイル(帆船)のデザインを感じさせるフォルムでなければこの商品開発も意味がありません。
試行錯誤の結果、古くからの木工加工の一種で「片胴付き」という方法を応用することでアームや脚パーツを着脱可能な構造にできました。
接合部分を「片胴付き」にすることで商品の強度を増すことが出来ました。
セイル・ローソファ (GB)の耐久性について
「片胴付き」は本来ほぞ組みの一種で木材と木材を強固に接着する際に用います。この方法をセイル・ローソファ本体とアームや脚パーツを片胴付きの形状にすることでパーツ同士が重なり合って大きな強度を生みだすように応用しました。更にローソファ本体もパーツ毎に剛性を高める設計をしておりますので、組立家具でありながら歪みが極めて少ない完成度の高さとなっています。a.flatでは家具の耐久性評価を標準化するためにJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)の強度試験規格を取り入れ、自社試験を実施しています。
セイル・ローソファと同じ拡張性を持つケイ・ローソファ。デザインコンセプトと強度確保のため、セイル・ローソファと比較して背面部分の奥行きが厚くなります。
ソファ本体とアームや脚パーツの着脱には、日本古来の木工技術・ほぞ組みの一種である「片胴付き」を応用し、パーツ同士が重なり合って強度を増す接続方法を採用しています。
なぜ、ローソファが選ばれるのか?
ゆったり座ることのできるソファはチェアと比較してやや低めにつくられています。ローソファの場合は標準的なソファよりも更に低く、セイル・ローソファやケイ・ローソファの座面高は床から約33cmの高さしかありません。ローソファにするメリットは日本人のスタイルに合う床に近い暮らしができ、お部屋の空間を広く見せることができることです。また、高く大きな家具による圧迫感が少なくなるため、目線が下がり壁や天井への開放感や抜け感が生まれます。
お部屋に開放感が生まれる
床からの座面高が33cmしかない、セイル・ローソファ。お部屋で一番大きな家具とも言えるソファの高さを低く抑えることで、目線が下がり窓や天井の空間が広く開放的に見えます。統一感のあるローテーブルやサイドテーブル、インテリアファブリックを選んでお好みのリゾートライフを創造してください。
座面が床に近く、日本のライフスタイルに合っている
欧米と違い、多くの日本のお部屋では靴を脱いで過ごします。もともとソファは欧米のイメージが強いですが、床に近い生活をしていた日本人がローソファを好むのはごく当たり前のように感じます。また、小さなお子様がいるご家庭で安全上座面の高いソファを敬遠している方もいらっしゃるかもしれません。ソファに背をもたれて食事をするようなシームレスで自由なスタイルにもローソファは相性が良いです。
デイベッドのように使いやすい
セイル・ローソファの座面クッションは広くフラットなつくりなので、デイベッドのように寛げます。肘掛と座面の高さに大きな差がなく、クッションなどに頭を当てて楽に横になることができます。セイル・ローソファは、お昼寝ベッドとしても使える贅沢なロースタイルのソファです。
セイル・ローソファ (GB)の商品紹介
a.flatソファの特色でもある拡張性も兼ね備えた「セイル・ローソファ」。ライフスタイルの変化により買い足してコーナーソファにしたり、カウチソファセットにしたりと変幻自在に楽しむことができます。セイル・ローソファは名前の通り、優雅に海上に浮かぶ帆船をイメージしたデザインとなっています。
307,384円(税込)
153,439円(税込)
177,507円(税込)
139,590円(税込)
64,570円(税込)
47,520円(税込)
ケイ・ローソファとの共通点と相違点
クッション中材類の共通化
セイル・ローソファのサイズ感はもともとケイ・ローソファを参考に開発が進められていたので、共通部分が多く存在します。クッション中材類もその一つで、座面クッション・背クッション・ボルスタークッションと全て同じ寸法とクッション密度でつくりました。クッション中材類はそのままに、ヒヤシンスやラタン素材のケイ・ローソファから無垢材のセイル・ローソファへの買い替えも可能です。
ソファカバーの色替え
a.flat商品の普遍的な要素でもあるソファカバーの色替え。セイル・ローソファはケイ・ローソファと同じ寸法・仕様のクッションを採用しました。ケイ・ローソファ同様にカバーの色や生地を選ぶことができるのが魅力です(別売り)。ソファカバーもお客様ご自身で簡単に交換ができ、多数の生地素材・色からお好みのソファカバーを選ぶことが出来ます。色は約100色取り揃えております。
永く使える拡張性とサイズ展開
a.flatソファの特徴でもあるローソファの拡張機能。豊富なサイズ展開があるローソファシリーズを主役に様々な組み替えパターンがございます。「一人暮らし」に始まり、ソファを更にプラスして「二人暮らし」や「家族暮らし」でも暮らせる、ローソファの永く使える拡張例をご参照ください。
ケイ・ローソファとの相違点
見た目で直ぐにわかる素材の違い以外に寸法的に変わったところはなさそうですが、実はセイル・ローソファの奥行き寸法はケイ・ローソファよりも約4cmほど小さくつくられています。これは、接合部分を片胴付きにすることにより背面部分の厚みを最小限に抑えることができた結果で、奥行き寸法が約4cm小さいだけでも生活動線がより広げられるなどのメリットがあります。
■奥行き約89cm
ケイ・ローソファとセイル・ローソファのクッション中材は同じ寸法・仕様で共通化しています。
■奥行き約85cm
セイル・ローソファの奥行きはケイ・ローソファよりも約4cmも小さくつくられています。
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まとめ
セイル・ローソファの商品開発エピソードは如何でしたか?セイル・ローソファは帆船(はんせん)から着想を得て開発された無垢材ローソファで、帆船を模したフォルムながらも軽やかさや抜け感にも気を配りながらつくり上げました。ものづくりの観点では、今回の商品開発でもっとも重要だったのはソファパーツの接続方法でした。a.flatは今後も安全性が高く一般的に困難と思われる商品にもアイデアを出し合い、お客様に満足して頂ける商品の開発をおこなってまいります。