「セイル・ダイニングチェアシリーズ」は、大海原の中を海風と波に乗って航行する「帆船(はんせん)」をテーマに開発しました。ユニークなデザインを実現するために、一つ一つのパーツのディテールにこだわり抜きました。a.flatらしい独自性と無垢材の温もりが調和した、「セイル・ダイニングチェア」「セイル・ダイニングアームチェア」に関わる商品の開発エピソードをご紹介させていただきます。
プロローグ
大海原を航行する帆船をテーマに開発されたセイル・ダイニングチェアシリーズ。脚先から伸びる後脚をマスト、美しい曲線を描いた背もたれ部分を帆に見立てて、海風を受けて進む帆船を椅子のデザインに採用しました。後脚と背柱は十分な耐久性を誇り、背もたれの形状は計5回もの試作を繰り返しながら追求した座り心地となっています。セイル・ダイニングチェアシリーズは、ユニークなデザインと無垢材の温もりが調和した無垢材ダイニングチェアとして開発されました。
無垢材ダイニングチェアの歩み
a.flatで現在販売している無垢材を使ったダイニングチェアは、セイル・ダイニングチェアシリーズを含めて3シリーズ目となります。マイナーチェンジを経て、ロングセラーとなっているウッド・ダイニングチェアv03シリーズや、特徴的な緩やかな曲線をハイバックの背もたれデザインに取り込んだリン・ハイバックチェア。いずれの商品も「アジアの風」を感じるa.flatのオリジナルダイニングチェアとなっています。
a.flatの普遍的なデザインである、ルーバーの背もたれが印象的なウッド・ダイニングチェアv03。チェア本体の線の細さと抜けを感じるスタイリッシュな佇まいが見る人の心を魅了します。
凛とした美しい佇まいが人の心を惹きつける、リン・ハイバックチェア。非対称な縮尺を用いたシノワズリな背もたれの曲線と座った姿勢に沿った座面角度が快適な座り心地を実現しました。
新商品:セイル・ダイニングチェアシリーズのご紹介
お部屋のコーディネートが広がる塗装二色展開
セイル・ダイニングチェアシリーズの塗装色は二種類ご用意しています。ダークブラウン色の濃いカラーは高級感・上品な部屋作りに木の温もり感も欲しいという方に人気の色合いです。グレインブラウン色は木の温もりや風合いを楽しめる無垢材家具にマッチします。無垢ならではの存在感や癒しの空間、曲線の家具デザインなどと相性が良い塗装色です。
シャープでモダンな印象のダークブラウン色。a.flatの定番カラーでラインナップも豊富です。
濃いブラウン色ですが、木地着色をしっかりと行うことにより、木目の存在感を感じることができます。
ダークブラウン色のセイル・ダイニングアームチェアです。アームに腕を休めてゆったりと寛げます。
天然木の特徴である木目(Grain)を生かしたブラウン色。無垢材の魅力を引き出す塗装色です。
グレインブラウン色は、ダークブラウンよりも色がやや薄く、柔らかな印象を与えてくれます。
グレインブラウン色のセイル・ダイニングアームチェア (GB)です。アームに腕を休めてゆったりと寛げます。
セイル・ダイニングチェアシリーズの開発プロセス
ものづくりにおいて、通常は初回試作品と完成品の外観はかなり差があるものです。実はセイル・ダイニングチェアシリーズに関しては比較的、初回試作品の完成度が高いものでした。しかしながら、座り心地と商品のモジュールに関しては懸念点が多く、特に背柱の角度と背当たりのフィット感・抜け感を微調整する必要がありました。セイル・ダイニングチェアシリーズの試作製作回数は計5回に及び、帆船のイメージを持ち、さらに座り心地を追求した商品となりました。
セイル・ダイニングチェアの開発プロセスについて
セイル・ダイニングチェアシリーズは構造上、後脚と背柱が別パーツとなっている珍しい椅子です。従って通常の椅子よりもパーツ点数が多くなり、各パーツの寸法精度も重要となります。パーツ同士の繋ぎ合わせが椅子の強度に直結するので、椅子の強度を維持しながら背もたれの角度や寸法の調整を繰り返して、時間を掛けて完成に漕ぎ着けました。
セイル・ダイニングアームチェアの開発プロセスについて
セイル・ダイニングアームチェアの初回試作品のアーム形状は背柱上から滑り落ちるようなデザインでしたが、実際にアームに腕を置いた際には腕が窮屈になり、アームチェアに必要な寛ぎが得られませんでした。改良をしたアームは、船のオールをイメージした水平な形状で、緩く膨らみがあるデザインとなりました。この改良により、腕の収まりも改善されゆったりと寛げるアームチェアとなりました。
セイル・ダイニングチェアシリーズの耐久性について
椅子を開発する重要なプロセスとして、a.flatでは椅子の耐久試験を実施しています。セイル・ダイニングチェアシリーズは、そのユニークなデザインであるが故に、一般的な椅子と比べて強度の確保が難しい面がありましたが、椅子の改良を重ねていくうちにデザイン性と耐久性の確保が実現できました。a.flatでは椅子の耐久性評価に関する標準化を徹底するためにJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)の強度試験規格を採用・実施しています。
帆船の帆をイメージさせる、セイル・ダイニングチェアシリーズの三角形は後脚・背柱・座枠の三つのパーツをトラス構造状に組み上げることにより、洗練されたデザインと耐久性の確保を同時に実現しています。
セイル・ダイニングチェアシリーズの生産プロセス
セイル・ダイニングチェアシリーズを生産する上で、考慮しなければならないのは素材の特性です。アッシュ無垢材は天然木であるがゆえに、十分な木材の乾燥プロセスが必要になります。また、不規則な曲線の多いセイル・ダイニングチェアやダイニングアームチェアの背柱や笠木など特徴的なパーツの研磨には、経験値の高い職人が必要となります。
無垢材の含水率管理~乾燥プロセスについて
あたたかな雰囲気で癒し効果のある無垢材ですが、無垢材ゆえに起こり得ることもあります。無垢材をつかった家具の大敵は過乾燥による亀裂や割れなので、木材(生木)の乾燥は重要となります。切り出した木材は天然乾燥を経て、約2週間ほど人工乾燥庫の中で乾燥を行います。無垢材はその特性上、個体差があり使用環境や季節の変化などが要因で亀裂や割れが発生することがありますが、プログラミングされた乾燥プロセスと含水率チェックにより無垢材の割れや反りなどの不具合を抑止するように努めています。
丹念な研磨プロセスについて
セイル・ダイニングチェアシリーズに採用されている表面硬度が高いポリウレタン塗装の場合、丹念な研磨プロセスが必要になります。十分な研磨作業がされなければ経時的な変化により、下地と塗装膜の剥離がおきてしまう場合があります。特にユニークな背もたれデザインのセイル・ダイニングチェアシリーズの場合、研磨する面に平行な角度で均等に研磨する必要があります。このように、経験と技術力のある職人が丹念に研磨することで安定した品質の商品を作り出しています。
セイル・ダイニングチェアシリーズの特徴
帆船から着想を得たデザインのセイル・ダイニングチェアシリーズは、一つ一つのパーツのディテールに拘って作り上げました。真っ直ぐに伸びる後脚はマスト(帆柱)に見立て、後脚と交差する背柱は海風を受けて大きく膨らむ帆のような湾曲したフォルムになっています。セイル・ダイニングチェアシリーズは「帆船」らしい爽快感あふれる特徴を備えています。
①帆船のマストのように真っ直ぐ伸びる後脚デザイン
セイル・ダイニングチェアの背もたれ中央部まで伸びる後脚が、まさに大きな帆を張るためのマストを表現しています。マストの役割と同じくセイル・ダイニングチェアの後脚も帆に見立てた背柱を支える力強さが感じられます。
帆船のマストに見立てたセイル・ダイニングチェアの後脚は、テーパー加工による陰影効果で実際の太さよりもすっきりしたフォルムになっています。
②海風で膨らむ帆のような、背もたれデザイン
背もたれの円弧形状と背柱のしなりが一体化して、まるで海風を受けて大きく膨らむ帆のような背もたれデザイン。笠木や背貫パーツは帆のイメージを損なわないために、可能な限り微調整と耐久試験を繰り返して最薄の17ミリに設定しています。
背柱のしなりと、三本の笠木・背貫が両端から丸みを帯びたフォルム。まるで、海風を受けて大きな帆が膨らんでいるようなデザインとなっています。
③オールのようなアームデザイン~セイル・ダイニングアームチェア
セイル・ダイニングアームチェアのアームは幾つか試作をつくり、形状を決めました。船のオールのように椅子全体のイメージを壊さず、座る人の腕が置かれる部分は水平で外側に緩やかに膨らむデザインは優雅でラグジュアル感があります。
座る人の腕が置かれる部分に向けて膨らんでいくアーム形状も、セイルらしさが現れるディテールの一つです。
④「帆船」のフォルムが作り出す、拘りの座り心地
セイル・ダイニングチェアシリーズは座り心地にも拘りがあります。強度十分なトラス構造、計5回もの試作を繰り返して設定した背もたれの角度と三本の笠木・背貫の間隔調整により、背あたりのフィット感が格段に良くなりました。ダイニングアームチェアのゆったり感のあるアーム形状も含めて背柱・後脚・座枠が一体となり、座りごこちの良さを形成しています。
セイル・ダイニングチェアシリーズの座面は、お尻をやさしく包み込む座面形状と適度な硬さのウレタン材を採用することで、安定感のある座り心地を実現しています。
三本の笠木・背貫の取り付け角度を変えることで、ゆるやかに「く」の字を描いた背もたれが実現しました。肩甲骨の下まである背もたれが、背中をしっかり支えてくれます。
⑤チェアカバーの色替え
a.flat商品の普遍的な要素でもあるチェアカバーの色替え。セイル・ダイニングチェアシリーズも他のチェアと同様に、カバーの色や生地が選べます(別売り)。チェアカバーもお客様ご自身で簡単に交換ができ、多数の生地素材・色からお好みのチェアカバーを選ぶことが出来ます。色は約100色取り揃えております。
9つのa.flatスタイルカラーの中には、肌触りの違いや繊細なカラーグラデーションを持ったファブリックが勢ぞろい。あなたらしい暮らしやカラーコーディネートが実現できる、お気に入りの色や素材感のファブリックがきっと見つかるはずです。(別売、受注生産)
座面にカバーを被せて紐で固定するだけで、簡単にチェアカバー交換ができます。ご注文頂いてから1点1点日本で丁寧に縫製を行っております。受注生産の為お届けまでに少しお時間を頂いておりますが、その分しっかりと長く使える質の良いカバーをご提供させて頂きます。
座面のカバーを交換する際、指で座面取付ネジを回して座面を簡単に外すことができます。この取付ネジは座面ネジを外す手間を少なくしただけでなく、仮にネジが緩んだ際の予防として、取付ネジが落下しにくいワッシャーもセットになっており、安全性にも配慮しています。
セイル・ダイニングテーブルの商品紹介
セイル・ダイニングチェアシリーズと同じ「帆船(はんせん)」をコンセプトに開発した、「セイル・ダイニングテーブル」。セイル・ダイニングチェアシリーズを帆船のマストや帆、セイル・ダイニングテーブルを帆船の船体や甲板に見立ててデザインしています。大海原の中を海風と波に乗って進む帆船を連想させるダイニングテーブルとなっています。
130,922円(税込)
130,922円(税込)
おすすめコラム
-
【開発エピソード】無垢材ダイニングテーブル~セイル・ダイニングテーブルの商品開発~
大海原を航行する帆船をテーマに開発されたセイル・シリーズ。短手側に丸みをつけた天板は船の甲板、台形状の形をしているロの字型の脚は船体に見立てて、海風を受けて進む帆船をダイニングテー ...続きを読む
まとめ
新商品のセイル・ダイニングチェア、セイル・ダイニングアームチェアの商品開発エピソードは如何でしたでしょうか?セイル・ダイニングチェアシリーズは帆船(はんせん)から着想を得て開発された無垢材ダイニングチェアで、船体を模したフォルムながらも軽やかさや抜け感にも気を配りながらつくり上げました。また、セイル・ダイニングチェアシリーズはセイル・ダイニングテーブルだけでなく、a.flatのすべてのダイニングテーブルとの相性を考えて塗装色もグレインブラウン色とダークブラウン色の二色展開にしていますので、お客様のお好みやお部屋の雰囲気に合わせてお選びいただく事ができます。a.flatは今後もデザイン性が高く一般的に困難と思われる商品にもチャレンジし、お客様に満足して頂ける商品の開発をおこなってまいります。