インテリアの引立て役とも言うべき壁飾りですが、ウッドパネルはa.flatのブランドメッセージでもある「その暮らしに、アジアの風を」を具現化した壁面装飾商品の一つです。ウッドパネルの歴史はa.flat商品の中でも意外と古く、2007年4月から販売をしている人気のある商品です。スッキリとした抜け感が印象的な商品ですが、実は非常に難易度の高い構造となっています。今回はたくさんの困難を乗り越えて復活した、ウッドパネルに関わる商品開発秘話をご紹介させていただきたいと思います。
プロローグ
a.flatのウッドパネルはa.flatの家具との相性を考えてデザインされています。開発は2006年に開始し、2007年4月より「ウッドパネルv01」として販売がスタート。2009年4月から「ウッドパネルv02」へ仕様変更して販売を続けていました。もともとウッドパネルは日本の家具製造代理店を経由して中国の工場で生産しており、当時の製造に関わるプロセスは工場独自のものでした。ある日、当該工場から生産ができなくなってしまったと突然連絡があり、2016年6月で販売を一旦終了せざるを得ませんでした。 生産中止の理由は安定した品質の商品が生産できないと言うことが主たる理由で、高齢化によりウッドパネルをつくれる職人がいなくなったことが背景にありました。どのような手づくり商品にも有り得ることでしたが、ウッドパネルはa.flatにとって人気商品でしたので、販売が継続できないと決まった際には喪失感に見舞れました。
職人が無垢材を丁寧に組み上げることで、素材の温もりを感じるウッドパネルv03。アジアの風を感じる格子デザインが魅力で、リビングやダイニング、ベッドルームなど壁面の広さに合わせたサイズをご用意しています。他のa.flat家具やオリエンタルな小物・雑貨との相性も良く、見た目以上に飾り易く、アジアンリゾート系の空間を演出するのに最適な壁飾りです。
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ウッドパネルv03
ウッドパネルv03~壁飾り・ウッドパネル~アジアな雰囲気を醸し出す格子デザイン~のページです。a.flatオリジナルの壁飾り・ウッドパネル、職人が細く切り出した木製部材を、一つ一つ丁寧に組み上げることで、素材の温もりを感じる格子デザインのウッドパネルが完成します。格子デザインは、アジアンリゾートや和モダンスタイルはもちろん、どんなタイプのお部屋にもコーディネートし易い壁飾りアイテムです。目黒通り、新宿、大阪梅田(グランフロント北館)の3つの店舗では、家具・インテリアコーディネートと壁飾り・ウッドパネルの組み合わせを確かめながら、お気に入りに囲まれる生活を、体感いただけます。理想のお部屋作りを演出する壁飾り・ウッドパネルシリーズです。
ウッドパネル復活への始動~難易度の高いデザイン性と低い生産性
ウッドパネルは商品を構成しているパーツ数が非常に多く、使用している素材が無垢材なので細かなパーツごとに裁断・採寸・研磨・塗装など繊細なプロセスが幾つもあることが難易度が高い理由です。それに加えて、ピラー(木片)の長さに幾つかパターンがあり、ピラーを格子状に組むと寸法的な誤差により隙間の発生や接着不良といった不具合が発生しやすくなります。難易度の高いデザイン性を持つウッドパネルを復活させる為には、生産する側とより密なコミュニケーションを取り、品質的な難題を克服していく必要がありました。
日本国内で生産可能な工場探し
まず、日本国内の家具生産工場へ製造コストは顧みずにウッドパネルが作れるかと打診しましたが、生産できる工場はありませんでした。やはり、このような難易度の高いウッドパネルを生産する為には工房のような技術力の高いところでなくてはできないのではないかと考え、独自のルートで知り合った日本国内の製材卸会社のオーナー経由で依頼することにしました。木材の製材卸会社は様々な技術力・設備を持った工場や工房に出入りしているので、ウッドパネルのような特殊なデザイン性をもった商品の生産も手がけている可能性があります。依頼した際には思ったとおり、日本国内の工房で木製格子を作っているところから生産可能との回答を得ました。しかしながら数ヶ月が経過し、徐々に「時間が掛かる」から「難しい」に返答が変わっていき、最後にはお断りの返答が届いて再びウッドパネルの復活は暗礁に乗り上げてしまいました。
海外協力工場でのトライ&エラーの繰り返し~既存の設備や協力体制を活かす
ここで諦めるわけにはいかず、次のステップとしてa.flatの既存の商品を作り続けていただいている海外協力工場への打診をしましたが、そもそも日本国内の工房でつくれないものを海外の生産工場で作れるものなのか?工場側からは協力してくれるとの回答を頂き一安心したのも束の間、何度も試作を作ってくれるものの上手くいかず工場内は不良品の山となりました。試作を繰り返していくうちに生産工場のスタッフも徐々に諦めムードになってしまいました。当たり前のことですが生産工場は安定した商品を作り、利益を生み出すものですので生産性が低く不良品が多い商品は好みません。このような感じで、ウッドパネルの復活は難航を極めました。
ウッドパネル生産開始、商品化へ
その後、諦めムードだった生産工場スタッフを励まして何とか開発を継続することはできました。そもそも生産が上手くいかない理由は何か?の意見を出し合い、ひとつひとつ洗い出して解決していくことにしました。
品質が安定しない理由~できない理由の洗い出し
ウッドパネル生産の難しさは商品のサイズにより、30枚から90枚を超える長さや形状の異なるピラーを格子状に組み合わせて製作する点です。一番の問題点は、それぞれのピラーの寸法精度にバラツキや誤差が発生することにより、組み合わせて接着する際にピラーがバラバラになってしまうことでした。また手作業が多く、ある種熟練した作業員が必要となることも上手くいかない要因でした。
15,653円(税込)
18,909円(税込)
35,805円(税込)
28,831円(税込)
生産手法の確立~手作業ながら、生産化に成功
ウッドパネルの品質を上げるために必要なことは、熟練した作業員の育成とピラーを組み合わせて接着するプロセスの標準化でした。熟練化と標準化は対義語のように感じますが、ウッドパネルを生産する上では双方が非常に重要なことでした。ピラーの寸法を維持するのには裁断する機械の確かなセッティングが必要で、その後のピラーの研磨プロセスでも研ぎすぎによる寸法のバラツキをなくさなければなりません。この時こそ、熟練した作業員による精度の高い作業技術が必要になります。最後の難関はピラーを組み合わせる接着プロセスですが、工場スタッフとの試行錯誤の末に接着用の特殊治具を製作することで、格子状に組み上げたピラーの接着強度が更に強くなった標準化プロセスが出来上がりました。
ウッドパネルv03の特徴
多くの手間と時間をかけて商品の復活に成功したウッドパネルですが、その名のとおり素材は化学繊維素材などではなく、温かみのあるゴムの無垢材でつくられています。また、ウッドパネルv03には多くの飾り方が選べます。a.flatにしかないウッドパネルv03とファブリックパネルを並列に飾ったウォールデコレーションなど、ここでは一般的な壁かざりとは異なるウッドパネルv03の特徴をご説明します。
ウッドパネルv03の壁飾りのコーディネートの一例です。300x300、630x300タイプはファブリックパネルと同じ高さ寸法なので、殺風景になりやすい壁面のさりげないインテリアとして彩をあたえてくれます。
軽量で扱いやすい
a.flatのウッドパネルv03は重さ0.6~1.3kgと軽量なので、設置する壁を選ばず、取り付けのし易さも魅力のひとつです。
・300×300タイプ:0.6kg
・450×450タイプ:1.1kg
・600×600タイプ:1.8kg
・650×300タイプ:1.3kg
奥行のある格子デザイン
ウッドパネルv03のは、見る角度によって違った印象を与えてくれる格子状のデザインが特徴です。ピラーの厚み(奥行)は約2センチと厚く、この厚みによって適度な陰影が生まれ、見る角度によりいろいろな表情を見せてくれます。ウッドパネルv02よりも、さらにa.flatの家具に合ったスタンダード色のダークブラウンの塗装がa.flatの家具との統一感を感じさせてくれます。
温かみのある丸み形状をつけたピラー
格子状に組み合わせられたピラーの表面形状には温かみのある丸み形状を採用しています。丸みのある形状にすることにより、ピラーとピラーのつなぎ目が立体的になり、ウッドパネルの陰影が際立ちます。仮にピラーの表面形状を平面的な形状にすれば不良品も少なくなって生産数も多くなりますが、代わりにウッドパネル独自のデザイン性も損なわれてしまいます。ウッドパネルの木枠(外枠)に関しても、立体感のある装飾を施してアジアらしさがより感じられるデザインにし、木枠の組み方は木口を45度に裁断して留める「留つぎ」にすることで接合部分をできるだけ見えないように配慮をしました。
まとめ
今回のウッドパネルv03の開発エピソードはいかがでしたか?ウッドパネルを復活させるにあたり、当初はウッドパネルの製造に関するノウハウが少なかったところから既存の生産工場の技術と製造プロセスに関する応用力を活かすことで、最終的にウッドパネルは復活することができました。地道なプロセスで商品の再リリースまで多くの時間を費やしてしまいましたが、海外生産工場スタッフの協力もあって最大限のデザイン性をともなったウッドパネルv03の商品化に成功することができました。a.flatは今後もデザイン性が高く一般的に困難と思われる商品にもチャレンジし、お客様に満足して頂ける商品の開発をおこなってまいります。